イスラエル軍事エキスポISDEF Japan:広がる反対の声と隠される参加企業情報(8月24日更新)

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ISDEF Japanの開催予定日(8月29・30日)が迫る中、中止を求める声が広がっています。8月16日には、会場となる川崎とどろきアリーナの利用許可取り消しを求める署名が、中東研究者・ジャーナリストの緊急声明と併せて提出されました。また、日本共産党川崎市議会議員団や旧総評系の神奈川平和運動センターも川崎市に対する申し入れを行っています。

開催初日の8月29日には以下の抗議行動が予定されています。

【イスラエル軍事見本市をやめろ!大抗議行動】
期日:8月29日(水)
時間:11時半~13時半
場所:川崎とどろきアリーナ入口前(武蔵小杉駅からバス)

「武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)」の杉原こうじ氏によるとISDEF Japanへの参加予定企業は6か国46社で、企業名は明らかにされていないとのことです。SNSでの宣伝などから判明している出展企業は本記事末尾に掲載している20企業です。日本企業で出展が分かっているのは今のところ3社のみで、ソフトバンク以外の2社は単なる輸入代理業者に過ぎません。反対運動によって、参加企業が減っているか、あるいは、参加する企業の多くが社名の非公開を求めているということかと思われます。

なお、判明しているイスラエル企業のプロフィールをみるだけでも、その経営陣およびスタッフには、イスラエル軍の諜報部隊である8200部隊の出身者が多く含まれています。この部隊の主要な活動の一つは、被占領地のパレスチナ住民の個人情報を盗聴やハッキング等により収集することです。そうして得たパレスチナ人の詳細な人間関係や病歴・性的指向等の情報を用いて人々の「弱み」につけ込み、運動組織の内部対立を引き起こしたり、対イスラエル協力者を確保しているのです。2014年にはそうした人権侵害に加担することに良心の痛みを覚える同部隊所属の予備役兵34名が、占領地における兵役の拒否を宣言する公開書簡を発表しました

また、同部隊や同部隊出身者が関わるイスラエルのセキュリティ企業が、国際的なBDS運動に対抗するための情報工作活動を主導するイスラエル戦略問題省に協力していることも分かっています。最近では、米国の著名なパレスチナ系女性活動家で、BDS運動の支持者であるリンダ・サルスールの個人情報がイスラエルのセキュリティ企業によって違法に収集され、SNSを通じた個人攻撃に用いられていたことが内部告発によって明らかにされています。

被占領地等でのパレスチナ人に対する人権侵害や国際人道法違反に加担している企業の展示会に会場を貸し出したり、彼らとのビジネス提携を行うことは、川崎市が参加している国連グローバル・コンパクトの人権侵害への非加担という原則に反するものです。また、日本政府も支持する「ビジネスと人権に関する指導原則 」における、「重大な人権侵害に関与しまたその状況に対処するための協力を拒否する企業に対して、公的な支援やサービスへのアクセスを拒否すること」(原則7c)や、「取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める」(原則13b)といった項目に抵触するものです。さらに、複数の参加企業(Magal Security SystemsとMifram Group、Magna BSP)が、全入植地の撤退と入植地関連ビジネスの終結を要請する国連調査団の報告書(A/HRC/22/63)の勧告の対象となる企業活動を行っていることにも注意が必要です。これらの企業は、国連人権理事会の決議にもとづき作成されている入植地関連企業データベースに登録されている可能性が高く、彼らと契約した企業はデータベースの公開時に厳しい社会的批判にさらされるというリスクを負うことになります。人権理事会決議はそうしたリスクの周知を各国政府に求めていますが、残念ながらISDEF Japanの日本招致に際してそうしたことに配慮が払われた形跡は一切ありません。

ISDEF Japan 参加企業リスト(8月24日現在で判明している限り)

Tar Ideal Concepts
トメル・アヴノンが創設し、社長を務めるTar社は、ISDEFを主催するAvnonグループの中核企業である。Tar社は、2005年に英国で行われた武器見本市で、パンフレットにスタンガンや身体拘束具など、拷問用器具を掲載していることが問題視され、展示ブースを撤収させられている。また、同社は、ロヒンギャへの迫害・虐殺を続けるミャンマー・ラカイン州の特殊部隊に対する軍事トレーニングも行っている。

Magal Security Systems
イスラエル防衛省の主要な契約企業。西岸地区の「隔離壁」708kmのうち、170kmの建設を請け負い、また、ガザを包囲する探知センサー付フェンスを供給している。2016年にはイスラエルの全ての刑務所のフェンスの設置とメンテナンスを請け負い、イタマールやカルネイ・ショムロン、オラニットなどのイスラエル入植地にもセキュリティ設備を供給している。「隔離壁」と入植地はいずれも国際法違反であることが2004年の国際司法裁判所の勧告的意見によって確認されている。ガザの「帰還大行進」に対して、サアル・クルシュCEOは、「ガザは当社のスマート・フェンスの展示場になっており、顧客は製品の性能が実地試験で証明されたことを評価しています」とコメントした。

Senstar
Magal Securityの子会社で、カナダのオタワに本社を置く。

Mifram Security
ミフラムは、移動式監視塔や簡易検問所を開発し、西岸地区のイスラエル軍に供給することで、イスラエルの違法な占領政策に加担している。2014年のガザ侵攻に際しては、コンテナ型要塞を開発、20ユニットを供給している。

Magna BSP
ナカブ地方ディモナに本社を置き、原子力施設等のための監視システムを開発・製造する。被占領エルサレムの旧市街やイスラエルの刑務所、ベングリオン空港などで同社製品が用いられている。同社CEOは、2014年のガザ攻撃に際して、同地区から外部に向けたトンネル掘削を防ぐための探知装置の設置を提案した。翌年、イスラエルの平和団体からの質問書に対し、同社は、「テロリストの攻撃から無実の市民を守るためにイスラエル軍に防衛技術を提供することを誇りに思っている」と回答している。同社の監視システムは福島第一原発に設置されていたことが報じられている

International Security & Defence Systems (ISDS)
1982年に元イスラエル軍対テロ部隊のレオ・グレサー大佐が設立。ニカラグアの右派民兵組織コントラやグァテマラおよびホンデュラスの右派ゲリラに武器・訓練を施し、内戦の長期化を促した。こうした中南米における人権侵害加担の過去もあり、2016年のリオ・オリンピックの警備に関する契約に際しては、大規模な抗議運動が起こり、政府が契約の中止を宣言するに至った。

Verint Systems
米国に本社を置くが、イスラエル支社が中心的拠点となっている。同社はカザフスタン政府およびウズベキスタン政府と契約し、両国における電話通話およびインターネット通信全体を監視するセンターを設立している。これによって独裁的な政府が一般市民の私生活を盗聴・監視し、政府に批判的な人々を抑圧することを手助けしている。同様の同社のサービスは、コロンビア政府ペルー政府、南スーダン政府に対しても提供されていることが判明している。なお、同社は2000年に日本支社(東京都千代田区、代表取締役・古賀剛)を立ち上げている。

Ability
主要生産拠点がパレスチナ西岸地区のアリエル入植地に隣接するバルカン工業地域に置かれている。同社は、業績不振で2018年7月にNASDAQ上場を取り消されている

Magam safety
イスラエル軍との緊密な連携のもとで製品開発をしており、パラシュート、耐Gスーツ、燃料タンクの供給は同社が独占している。2014年まで同社を所有していたSDS (Star Defense Systems)社の代表取締役であったギオラ・エイランド退役少将は、同年のガザ侵攻に際して、「ガザに無実の市民など存在しない」と発言するなど、一般住民に対する集団的打撃を戦略的に与える「ダヒヤ・ドクトリン」の主張で有名

Kela targeted Cyber Intelligente
イスラエル軍8200部隊の元将校3名が2009年に創設。数十名いる従業員のほとんどが8200部隊をはじめとした諜報部隊出身。「AI(人工知能)で犯罪者が攻撃の計画を密談する闇サイトに潜入し、攻撃の情報を先回りして入手する防衛技術を持つ。政府関係者は「ケラグループの技術を五輪対策で採用したい」と打ち明ける」(産経新聞、2018年6月15日)。日本イスラエル商工会議所理事の小木曽明夫が東京事務所代表を務める。

APSTEC Systems
ロシアやエストニアに展開しているが、イスラエル企業としてメディアで紹介されている。爆発物等を探知する人体スキャナーを開発。

Mobilicom
イスラエル空軍およびイスラエル陸軍の研究開発部門出身者が設立。モバイル対応通信網の開発・供給を行っている。パートナー企業には、IAI、エルビット・システムズ、ラファエルなど、イスラエルの大手軍需企業が名前を連ねる。

Perimeter 81
共同創設者の二人ともIDF技術部隊出身。社名はイスラエル参謀本部諜報局の81部隊に由来か? 企業向けサイバーセキュリティ・システムを提供。イスラエル軍8200部隊出身者が設立したチェックポイント社やサイバーアーク社の日本法人社長を歴任してきた本富顕弘が日本事務所代表。

Zimperium
ジンペリウムの創設者はイスラエル軍の「技術研究者」出身。サンフランシスコに本社を置き、テルアビブに研究開発センターをもつ。モバイル・セキュリティ・サービスを提供。ソフトバンクが多額の出資をしている。

Cybereason
CEO兼共同創設者はイスラエル軍8200部隊出身。ボストンに本社、テルアビブに研究開発センターを置き、企業向けセキュリティ・システムを提供。2016年、ソフトバンクとの共同出資で日本法人を立ち上げる。日本法人のCEO及びCOOもイスラエル軍の元将官。同社は、8200部隊出身者を中心に研究・開発活動を行っていることを強調している

Votiro
イスラエル軍8200部隊出身の二人が設立。受信ファイルを無害化するソフトなどを開発。

ソフトバンクグループ
ISDEF Japanに出展するZimperiumやCyberreasonと同様、イスラエル軍の技術開発部門出身者が立ち上げたVayyar Imaging社などにも出資している。安倍政権下でのイスラエル経済界との急速な接近が危ぶまれる。

Semi Conductor Devices (SCD)
SCD社の株の半数を所有するイスラエルの軍需大手エルビット・システムズ(残り半数はラファエル)は、国際法違反である西岸地区の「隔離壁」の電子監視システムを供給している。エルビット社はガザ攻撃に際してイスラエル軍が用いているドローン(無人機)を製造していることでも国際的な批判の対象となっている。

アイ・アール・システム
イスラエルのSemi Conductor Devices (SCD)社の日本代理店を請け負っており、ISDEF Japanでも、同社の赤外線検出器などを展示する予定

エム・エー・ジェー株式会社(緑屋電気グループ)
ISDEF Japanに出展するマガール・セキュリティー・システムズ、センスター、ミフラム・セキュリティの製品を扱っている。

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